COLABORAジャーナル

ネット時代の著作権を考える―COLABORAが目指すものとは?

ユーザーの立場からデジタル技術の利便性を求める―一般社団法人インターネットユーザー協会

―では最後に一般社団法人インターネットユーザー協会の小寺さん、よろしくお願いします。

小寺

僕はテレビ番組の編集マンを経て、今は映像や音、そして情報に関する技術について評論をしたり、コラムを書いています。一般社団法人インターネットユーザー協会は、インターネットユーザーの立場からデジタル技術の発展やユーザーの利便性を上げていくためにさまざまな活動をしています。MIAUというのは僕らの団体の通称なんですが、これは僕らの団体の英語名の単語の頭文字をとったものです。よく「ミアウ」とか「まいうー」というふうに読まれるのですが、「みゃう」と読むのが正しい読み方です。

野口

英語のネコの鳴き声とかけているんですよね。

小寺

その通りです。だから僕らのトレードマークもネコのシルエットなんです。

渡辺

MIAUって幅広くいろんなことをやっていますよね。

小寺

そうなんです。インターネットに関するいろいろな問題についての駆け込み寺みたいな存在になっているので、日々いろいろな要望がユーザーから寄せられるんです。著作権の問題だけでなく、インターネット上での表現の自由の問題やプライバシーの問題、そして情報リテラシー向上のための活動もやっています。しかし一番キーとなる問題は著作権に関する活動ですね。

MIAUの立ち上げのきっかけは著作権法の改正だったんです。2010年の著作権法の改正で、著作権を侵害してインターネット上に置かれた映像や音楽を、それが違法だと分かった上でダウンロードすることが違法になりました。これは「ダウンロード違法化問題」と呼ばれ、インターネット上で大きな議論を巻き起こしました。著作権侵害の映像や音楽をダウンロードするなんて悪いことに決まっているし、泥棒と同じなんだから違法行為になって当たり前じゃないか、というように考える人がいるかもしれません。というか、そう考えるのが普通だと思います。しかし実は一概にそうは言えないところがあるんですね。詳しくは僕らのウェブサイトを見てほしいのですが、例えばインターネット上にある映像や音楽が違法なものか合法なものかって、そんなに簡単には見分けがつかないんですよね。そういうものを違法にするというのはやはりかなりおかしな話なんです。

渡辺

昨年の10月には、その違法ダウンロードに罰則がつきましたね。

小寺

そうなんです。2010年の改正も、そして2012年の改正も、どちらも音楽業界や映画業界の強い意向で進められたんですね。音楽業界や映画業界は自分たち業界の利益を代表する団体を作って、政治家や政府の委員を説得していきました。業界団体は資金を持っていますから、そういう説得を行う専門の人を雇ったりできるんですね。じゃあインターネットユーザーの利便性を訴えるような団体があったかというと、それがなかったんです。業界団体の意見というのはまとめやすいし、分かりやすいものです。しかしユーザーの意見というのは広く偏在していますし、なかなか理解されづらいものです。だからこそインターネットユーザーの声を代弁するための団体としてMIAUを立ち上げたんです。

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